2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中身のない人間:ジョルジョ・アガンベン

各章の要約については、岡田氏による解説(191-202)でなされているので、立ち入らないことにする。本書でアガンベンは、近代の芸術論を参照しながら、それが古代の受容とことなるのはなぜか、という問いをたてる。ヴィントがいうように、プラトンにおいて芸…

技術と時間2 方向喪失:ベルナール・スティグレール

このエントリーは技術と時間1の続きです。 はじめに 一巻の冒頭で技術は非思考である、と言われていた。なぜ技術の思考が必要なのかを示しつつ、同時に、本書は技術の思考を行う。本巻の「序」では前巻の思考が簡潔に捉え直されている。スティグレールは繰り…

技術と時間1 エピメテウスの過失:ベルナール・スティグレール

初めに 本書はこみいった叙述ではないものの密度が高く、その各論に深入りしてゆくと、全体的な把握を失いかねない。この記事ではとりあえず大要の把握を目指す。スティグレールの思考はハイデガーやデリダを引き継ぎつつ、第一章で見られるような技術進化の…