「現代形而上学論文集」

精読する時間が無いので、短文で更新することにする。表面をなぞるだけのようで、なんとなく心地が良くないが、更新しないより良いと思うことにして、掲載しておく。

「現代形而上学論文集」

近年の分析哲学系の形而上学論文が収められている。存在論的な、形而上学的な問いに向けて、一つの論点に収斂しては居ないものの、それが返って現代の分析哲学の幅広さ、雑多性を示している。「一つ」のものとはなにか、という問いを取り上げた「たくさん、でもほとんど一つ」や出来事をどう捉えるかについての考察「性質例化としての出来事」、キムの「物質世界の中の心」をより一般的な尺度で論証していた「傾向性についての三つのテーゼ」時間的カテゴリが存在論的カテゴリに先行することを示した「耐時的存在者と永存的存在者の両立不可能性」など。
そしてこれらに統一性を与えているのが編訳者解説。文章として纏まっているだけでなく、雑多ともいえる論文を一つの視野の下に統一的に把捉している。
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b27037.html
案外と分量も多い。論文のみのページ数は三百程で、論文はほとんど数十ページほどの短篇だが、密度が高い。え、と思うような論文も、無いわけではないけれど、一つだけ。すぐに読めるような本ではないけども、一論文あたりの時間は短くてすむ。