宮沢賢治『銀河鉄道の夜』作品論集

読みました。中身は戦後から平成までの「銀河鉄道の夜」論を時系列順に並べたもの。「最終版」として校訂がなされた、「校本 宮沢賢治全集」以後は、意味や見立てについて興味深い評論が登場しだします。一応の解釈が下せるようになったということです。感謝しなければならない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E8%B3%A2%E6%B2%BB

賢治は、いったん完成した作品でも徹底して手を加えて他の作品に改作することが珍しくなかった。この点から賢治は「最終的な完成」がない特異な創作概念を持っていたという見方があり、自身が書き残した『農民芸術概論綱要』においても「永久の未完成これ完成である」という記述がある。多くの作品が死後に未定稿のまま残されたこともあり、作品によっては何度もの修正の跡が残されて全集の編集者が判読に苦労するケースも少なくなかった。そうした背景から、原稿の徹底した調査に基づき逐次形態をすべて明らかにする『校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房、1973〜77年)が刊行され、作品内容の整理が図られた。

大別して身体的要素、宗教、個人史のそれぞれから作品を分析したそれぞれの論文です。それを踏まえた論文の配置もよかったのか、一気呵成でした。退屈しません。
あ、でも、内容に比して値段は相当に高価いので図書館などで読むといいと思います。