2010-01-01から1年間の記事一覧

鉄の時代:クッツェー

鉄の時代 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-11)posted with amazlet at 10.07.15J.M. クッツェー 河出書房新社 売り上げランキング: 24199Amazon.co.jp で詳細を見る「侵入者」においてナンシーは自らの心臓移植について語り、自己免疫の異常において、自…

デルタの結婚式:ユードラ・ウェルティ

世界の文学〈第51〉ベロー,ウェルティ (1967年)雨の王ヘンダソン・デルタの結婚式posted with amazlet at 10.07.14中央公論社 売り上げランキング: 1043446Amazon.co.jp で詳細を見る デルタ地方 「デルタの結婚式」の舞台となっているのは、アメリカ南部ミ…

7/11

「影の無い女」をはじめて読んだときに、難しい小説だなあ、と思った。この難しさは時間の二つの相、影の有無などの二つの世界の交錯と交代が象徴的にめまぐるしくなされることによるものだったように思う。昨日の記事は全体像が見えてから書いた、というよ…

影のない女:ホフマンスタール

世界文学全集〈66〉リルケ.ホフマンスタール (1978年)マルテの手記 影のない女posted with amazlet at 10.07.11集英社 売り上げランキング: 443477Amazon.co.jp で詳細を見る 精霊界の姫を妃にした帝は、三日の間に石と化してしまう。姫の父王は姫の護符に以…

やし酒のみ:エイモス・チュツオーラ

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)posted with amazlet at 10.07.08イサク・ディネセン エイモス・チュツオーラ 河出書房新社 売り上げランキング: 69200Amazon.co.jp で詳細を見る本作品の内容を細部に立ち入って語るのは、…

7/8

先日、今日とどこか内容を書きづらい作品が続いた。短くなったのはそのためだけれど、どちらも、特に「アフリカの日々」は素晴らしい作品だった。 最近は隔日更新になってしまっていて申し訳ないです。本当は毎日更新したいのですが、なかなか実行できません…

アフリカの日々:イサク・ディネセン

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)posted with amazlet at 10.07.06イサク・ディネセン エイモス・チュツオーラ 河出書房新社 売り上げランキング: 55987Amazon.co.jp で詳細を見るイサク・ディネセンが1937年に発表した本作…

第七官界彷徨:尾崎翠

尾崎翠集成〈上〉 (ちくま文庫)posted with amazlet at 10.07.04尾崎 翠 筑摩書房 売り上げランキング: 52371Amazon.co.jp で詳細を見る まず著者の解説(「第七官界彷徨」の構図その他)を読むと、本小説が情景の鉄道的な接続と、ものに持続的な場を持たせ…

聖なるもの:オットー

聖なるもの (岩波文庫)posted with amazlet at 10.07.02オットー 岩波書店 売り上げランキング: 25976Amazon.co.jp で詳細を見る優れた解説が巻末にあるので、先にそちらから読んだほうがいいかもしれない。本書ではまずヌミノーゼを定義した後、現実の諸宗…

危険な関係:ラクロ

危険な関係〈上〉 (岩波文庫)posted with amazlet at 10.07.01C.D. ラクロ 岩波書店 売り上げランキング: 226520Amazon.co.jp で詳細を見る危険な関係 下 岩波文庫 赤 523-2「危険な関係」とは、少なくとも2回、どちらもヴォランジュ夫人の書簡で使われる言…

7/1

今日の記事が余りにも長くなりすぎたので、昨日書いたこととは違ってしまいますが、今日の更新は「危険な関係」のみとしたいと思います。また、若干カテゴリーを整理しました。

6/30

すみません、本当は今日は「危険な関係」について書く筈だったのですが、用事の為、これから記事を書くための時間をとることができないため、明日まとめて二冊分更新する事にします。

楽園への道:バルガス=リョサ

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)posted with amazlet at 10.06.28マリオ・バルガス=リョサ 河出書房新社 売り上げランキング: 51165Amazon.co.jp で詳細を見る双方とも実在の人物であるフローラ・トリスタンとその孫で画家のゴーギャンの、…

6/28

今日はリョサの「楽園への道」についてだったけれど、上手くかけなかった。優れた小説なのだけれど、それが伝わらなかったのなら責任を感じます。 また、明日は更新できないと思うので、次は三十日となります。

モンテ・フェルモの丘の家:ナタリア・ギンズブルグ

アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12)posted with amazlet at 10.06.27エルサ モランテ ナタリア・ギンズブルグ 河出書房新社 売り上げランキング: 270043Amazon.co.jp で詳細を見るこの小説は書簡小説の形で構…

アルトゥーロの島:エルサ・モランテ

アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12)posted with amazlet at 10.06.25エルサ モランテ ナタリア・ギンズブルグ 河出書房新社 売り上げランキング: 260463Amazon.co.jp で詳細を見る心理小説としてよかった。思…

アガンベン入門:エファ・ゴイレン

アガンベン入門posted with amazlet at 10.06.24エファ・ゴイレン 岩波書店 売り上げランキング: 38539Amazon.co.jp で詳細を見るイタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンはその「ホモ・サケル」とその一連のプロジェクトによって知られる。本書ではそのプロ…

テイラーのコミュニタリアニズム:中野剛充

テイラーのコミュニタリアニズムposted with amazlet at 10.06.23中野 剛充 勁草書房 売り上げランキング: 418270Amazon.co.jp で詳細を見るチャールズ・テイラーはコミュニタリアンの一人として名を知られる。共同体主義者のうちロールズを正面から批判した…

美しき惑いの年:ハンス・カロッサ

ハンス・カロッサ全集〈4〉posted with amazlet at 10.06.21ハンス カロッサ 臨川書店 売り上げランキング: 999989Amazon.co.jp で詳細を見る(amazon、上は臨川書店の全集。わたしが読んだのは、下の集英社版の世界文学全集であり、記事にあげたページ数は…

欲望について:ウィリアム・B. アーヴァイン

欲望についてposted with amazlet at 10.06.20ウィリアム・B. アーヴァイン 白揚社 売り上げランキング: 272879Amazon.co.jp で詳細を見るもちろん、私たちはみな欲望をもっている。まず注意しておいてほしいのが、本書において欲望はもっとも広い意味で使わ…

パミラ:サミュエル・リチャードソン

筑摩世界文学大系 (21)リチャードソンの「パミラ」はパミラが両親に宛てた書簡を編集した形式になっている。かかれた時間が作中の時間のそれぞれの切断面であり、また書かれた時点での正直さはもちろん保障されている。手紙はパミラが仕える「ご主人」に読ま…

空海の夢:松浦正剛

空海の夢posted with amazlet at 10.06.17松岡 正剛 春秋社 売り上げランキング: 131428Amazon.co.jp で詳細を見る初版は二十五年前。ちくまから出ていた「空海コレクション」を手に取り、冒頭に録されている「秘蔵宝鑰」の序詞を読んで、どうしても空海を読…

6/17

今日は最近読んだ松浦氏の本について、短いですが書きました。また「楽典―理論と実習」も一応読みましたが、却って自分の音楽的教養の不足があらわになり、まあ諦めもついてよかった。つまり音楽史が読めないのは個々の作曲家のイメージができていないから、…

戦争の悲しみ:パオ・ニン

暗夜/戦争の悲しみ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-6)posted with amazlet at 10.06.16バオ・ニン 残雪 河出書房新社 売り上げランキング: 79000Amazon.co.jp で詳細を見る我々はみな、当たり前のことだけれど、記憶を持つ。記憶は良いものもあれば、思…

5/15

今日は個人的な事情で更新できない。明日「戦争の悲しみ」は書きますので、本当に申し訳ない。今日の更新は、昨日の記事の末尾部分を書き直しただけです。

暗夜:残雪

暗夜/戦争の悲しみ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-6)posted with amazlet at 10.06.14バオ・ニン 残雪 河出書房新社 売り上げランキング: 191102Amazon.co.jp で詳細を見る彼女については本書で始めて知ったのだけれども、彼女の文体には特徴があり、そ…

近代日本の陽明学:小島毅

近代日本の陽明学 (講談社選書メチエ)posted with amazlet at 10.06.12小島 毅 講談社 売り上げランキング: 255400Amazon.co.jp で詳細を見る本書では日本近代において、陽明学がと水戸学どのような場面に関わっていたかが述べられている。また、本書は両学…

5/12

今日は「近代日本の陽明学」について。陽明学の問題が一望できる書。今度からは小説を読んでいきたいのだけれど、まだ読めていない状況なので恐らく明日は更新できず、次の更新は月曜になると思います。

ならず者たち:ジャック・デリダ

ならず者たちposted with amazlet at 10.06.11ジャック・デリダ みすず書房 売り上げランキング: 194681Amazon.co.jp で詳細を見る車輪の比喩、円環の比喩から、デリダは始める。俎上に上げようとしているのは、強者の理性がいつでも正しいことになる、とい…

伝習録:王陽明、吉田公平(編)

伝習録―「陽明学」の真髄 (タチバナ教養文庫)posted with amazlet at 10.06.09吉田 公平 たちばな出版 売り上げランキング: 75722Amazon.co.jp で詳細を見るむかし精神の安息を得るために、伝習録をよんだことがあった。最近になって「陸象山と王陽明」を読…